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No Triathlon No Life...|白戸太朗の裏ワザ的トライアスロンライフ

Vol.05「TJ読者のためのロードレース観戦講座!?」

「5月は自転車普及月間」。なんてことはほとんど知られていないが、私にとっては自転車漬けの毎日。3週間に渡るステージレース「ジロ・デ・イタリア」の開幕で収録の日々が続き、その間にも国内最大級のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」(TOJ)が開催。各地のレースを追いながら、合間に収録を行うという超ハードスケジュールが続く。時折、ふたつのレースが頭の中で混線状態になり、「あれっリーダージャージってピンク? グリーン?」(※)なんてとぼけた質問が出てくる始末。 このサイクルロードレース、簡単に言えばスタートしてゴールまで早く行ったものが勝ちということになるのだが、実は非常に複雑で理解するのに時間がかかる。その大きな要因が、トライアスリートにはおなじみ「風の抵抗」だ。追い風では気持ち良く走っていられるが、向かい風ではバイクが嫌いになり、横風では転びそうになってハンドルにしがみつくなんて経験は皆さんおもちだろう。そう、この風こそが自転車競技を作っているのだ。

たとえば、スピードが出れば出るほど大きくなる抵抗は、人の後ろに入ることで楽になる。つまりひとりで走るより集団にいるほうが楽チンということ。しかし、皆がそれでは勝負はいつもゴール勝負となってしまうので、途中から逃げ出す選手が出てくる。もちろん集団のほうが圧倒的に有利なのだが、人数が多くなると人任せで先頭に出ない選手が出てきたりする。すると、誰もが先頭を引きたくなくなり、結果として大集団のほうがペースが落ちるという現象が生まれる。すると逃げの選手がそのまま勝ってしまったり……なんていうのはまだまだ序の口。これにチームプレーが加わり、人間関係が複雑に絡み合い、コースや天候などの条件が加わると、非常に複雑になってくる。 だからこそ、このスポーツには経験が必要で、見るほうにも追求のしがいがあるというもの。かくしてヨーロッパの人々はサイクルロードレースに熱狂するのである。 自転車乗りに学ぶ美しい乗り方&クールな着こなし

さて、「ロードレーサー」という共通の道具を使う我々トライアスリートは、どこを見るべきなのか。まずはなんといってもあの美しいペダリングだろう。気持ち良いくらい華麗に回る脚の凄さは、同じ自転車に乗る我々だからこそ分かるはず。細かい理論などいいので、あのイメージを頭の中に深く刻んでほしい。あのリズム、足首の感じ、イメージを持っているのと、いないのでは確実にペダリングに差が出るはず。 次にあの安定感。上半身はリラックスしながらも、ほとんどブレることなく美しく固定されている。このフォームだから当然バイクも真っすぐに走り無駄がない。無駄を最大限に省いたものはどんなものでも美しい。ペダリングも走りも無駄が多い我々は大いに勉強すべきだ。美しくなるために。 美しいというならば、カッコも参考にしたい。バイクの上で生活しいているような彼らは、ウエアにも無駄がない。いつもウエアをバタつかせているトライアスリートは誰? 簡単にできる見せかけテクのコツは『アームウオ-マ-』。サイクリストはこれを多用するし、使い方がうまい。ぜひ画面でチェックを。

自転車そのものにも興味はつきない。確かに道具では、トライアスリートのほうが新しいものを取り入れるのが早い。しかしその選択が正解でないこともしばしば、いや実はよくある。たとえばホイールやフレームに要求する剛性。硬くて軽量であれば確かに踏み出しは軽いが本当にそれでいいのか? 硬いということは身体にかかる負担も大きいし、疲れたときには厳しい。踏めているうちはいいが、脚が疲れてきたら辛いという経験をした人も多いのでは? ロードレーサーも意外に柔らかいものを使っていることがある。ヨーロッパでプロとして走っていた選手に言わせると「大切な後半に脚を残すには重要なポイント。だいたいペダリングの下手な人ほど力が逃げていることが多く、柔らかいホイールを使えないんです」と厳しいお言葉。トライアスロンにおけるバイクの役割をもう一度考えてみるべきだろう。 異なる点も多いトライアスロンとロードレースだが、自転車に乗るという基本は同じ。道具を使うという点では、ほかの2種目より複雑なスポーツだから、もっと専門家から学ぶ点があるのではないかと思う。幸い、近年は本場のレースをテレビで見ることができる環境になった。さあ、この夏はロードレースを見まくるべし! ※著者注……レースのリーダーのみが着用するこのジャージはレースの象徴で、ジロはピンクの「マリアローザ」、TOJはグリーンなんてのは基本中の基本。これが分からなくなるなんて、かなりの重症!?