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No Triathlon No Life...|Back Number

No Triathlon No Life...|白戸太朗の裏ワザ的トライアスロンライフ

Vol.11「あるプロアスリートの宴会録」

これはあるトライアスリートのお話。彼は歳を重ねてはいるもののプロアスリートとして活動。近年は競技以外の仕事にも忙しく、あちらこちらと走り回っている。 彼はアルコール燃料派、つまりお酒が嫌いではない。練習の妨げになるとは思いつつも、いわゆる「飲みニケーション」についついハマってしまうのである。昨夜も飲み過ぎた彼は、起き抜けに水をがっぽりと飲み、ジョグに出かけていく。 「お酒が飲めなければどんなに時間が作れたのか」「どんなにお金が貯まったのか」と彼が何度思ったことか。今までにアルコールで費やされた時間は、飲んでいる時間や、リカバリーの時間を含めて膨大なものになるだろう。また、生涯にアルコール関連で使ったお金を概算すると、「ポルシェ」いや「フェラーリ」だって買えるというもの。大体、お酒を飲まなければ、もっと練習できるし、身体も良い状態かもしれない。どうして自分はアルコールなど好きになってしまったのだろう? 宴の席で「飲めません」宣言をしてウーロン茶を飲んでいる人をうらやましく思っている。

そんな彼も一応、この世界でやっていくにあたり、飲み方をいろいろと工夫している。さすがに常人とまったく同じでは、選手など続くはずもない。まずは宴会にはできるだけ自転車で行くことにしていること。ライトに反射版、ヘルメットなどの安全対策を施して、宴席に向かう。もちろん自転車とはいえ、飲酒運転はご法度。それが頭の隅にあるので、飲み過ぎないというわけだ。そして、宴席でオーバーカロリー気味の身体を、寝るまでに代謝を上げておくという目的もある。いわば、酔い覚ましなのだが、夜風に吹かれてペダルを回すと、帰宅した時点で結構すっきりとしているから不思議なものだ。 宴会が始まり飲み始めると食欲もとどめないのがトライアスリート。もちろんよく食べ、よく飲み、という姿勢なのだが、できるだけ身体に良いものを選ぶなんていうのは常識。揚げ物より焼き物、脂身より赤身などはおなじみの注意事項。自らメニューの主導権を握ると、都合のいい内容でオーダーできるので、注文係を請け負うのも忘れない。 楽しい宴が終わり、帰路につく前にはしっかりと水分補給。なにしろこれから多少なりとも運動するわけだし、翌日の爽やかな目覚めのためにも、飲み終わりから寝るまでにしっかりと水を飲む。もちろんサプリメントも忘れない。ベーシックな「ウコン」はもちろん常用。また、最近はまっているのは「アミノ酸」。宴の前と就寝前に飲むと翌日が違うのだとか。これはあまり知られていないが、学術的な裏付けもあり効果が実感できる。ぜひ一度お試しあれ。 宮塚さんもハワイ9位の前夜にビールを飲んでいた!?

それにしても傍から見ると、これだけ努力するくらいなら「飲まなきゃいいのに」と思ってしまうのだが、彼なりの理論もある。座右の銘は「酒飲みは、酒を飲まない奴の二倍の世界を持つ」。いつ、誰から聞いた言葉かも覚えていないが、一緒に飲むからこそ生まれる雰囲気が大切。会議席では進まぬ話も、宴の席では円滑だったりするし、延々と続く無駄話にこそヒントは落ちている。そもそも無駄がない人間、無駄のない時間など、なんの面白味もない。また、食欲増進効果も見逃せない。夏場などに1杯のビールが食欲を増してくれるのは周知のとおり。問題は1杯でやめられないところだが……と彼の言い訳は止まることがない。 彼以外のアスリートはどうなのか? トライアスロン界でも、結構好きな選手は多いし、海外、特にヨーロッパ系の選手は当たり前のように楽しんでいる。宮塚(英也)さんがアイアンマン・ハワイで9位に入賞した際、前夜ホテルのバーでビールグラスを傾けていたのは有名な話。ツール・ド・フランスなどでもレース期間中、夕食時にワイン程度は飲まれている。アスリートとアルコールの関係をつきつめていくと、結局は「量さえ間違わなければ身体にいい」というところに落ち着くのだろう。適度にたしなめば「百薬の長」。

しかし難しいのはその適量。飲み出したら簡単に止まるはずもないから困ったものだ。そんなマイナス効果を気にする以前に、楽しい仲間との楽しい時間をもつことが身体にも精神的にも悪いはずがない。細かいことを気にするよりも、楽しむときは楽しみ、練習へのモチベーションを高めるほうがベターだ──というのは酒飲みの都合いいまとめ方? さて、宴会シーズンも真っ只中。皆さんも彼を見習、いや反面教師として楽しい宴ライフを。 それではあらためて、「乾杯!!」。